Nuevas Culturas Urbanas, 2009
はじめに

昨今どこの都市においても世界中の音楽と色彩と味覚が入り混じっています。距離が無くなったのです。通信網や人工衛星はまるで種々の関係や数々のデータからなる無形の二枚目の皮のように世界を包み込んでいます。そのために現在の社会では町の生活情報やその処理とに関係なく生きることが不可能になりました。都市の風景と表現の比喩が相互に影響し合う結果、新しい形の文化や創作や芸術として具現化されるようになりました。これらを座標軸としてコネクティビティーが重要な役割を果たすことを前提に、通信技術に秀でる国といえば目に浮かぶのは疑いも無くアジア大陸の東海岸に面する弓形の細長い列島、文字通り「日の本」と名付けられたスペイン語ではハポンと呼ぶ国です。

情報化社会という言葉を生み出した人たちの内の一人が80年代に“The Information Society as a Post-Industrial Society” (邦訳「原典情報社会機会開発者の時代へ」)の著者である増田米二先生だということは根拠がないことではありません。また日本という国から現代的コンセプトでいう偏在社会を連想することも偶然の結果ではありません。つまりサイバーカルチャーにおいて世界のリーダー国であり、技術イノベーションの最新傾向について調査するときに皆が注目する日本と言う国について述べているのですから。そこでは町並みと通信網が区別無くハイブリッドし合う中で最も多様な芸術様式に向かう予測不可能な道が始まるスペースが生まれるのです。日本で情報がどれだけ重要視されているかを知るために、「21世紀の日本のビジョン」というレポートをざっと読んでみるのが良いでしょう。未来に向かうこの国の展望をのぞいて見ると、2030年に向けての三大目的のうちの一つに、開放的な国、文化面でクリエイティブな国を目指し、人間、商品、情報が自由に流通できる国を掲げています。

この超結合的社会においての情報の役割を理解するために、自分たちの社会を一つのエコシステムとしてとらえる日本人の特異な気質を前以って心に描いてみる必要があります。日本の通産省Miti/IRのレポートによりますと、この国の社会は無機質の機械的なシステムよりも生きている有機質の物体に似ていて、もしまだそのことが達成されていなければ、将来情報ネット社会へと発展するだろうと記載されています。(Jiap)ジャパン・インフォメーション・アクセス・プロジェクトのマネージャー、ミンディー L. コツラーは、日本人は情報を何かダイナミックなものとして見て、又、それぞれのデータを大きなパズルの基本的部分を成すくらい意義深いものとして見る、日本は現在世界の中でも近代的、結合的社会を謳歌する理想の国の姿を見せています。世界でも有数の進歩的な社会のひとつとして、またノードやネットを通じて大多数の個人が情報に接続することを可能にした国としてです。他のファクターとして、この情報的エコシステムの大きなな変化についてですが、都市の増加する中流階級が、消費のトレンドや人間関係、芸術表現などの習慣、そして最終的には生活を変化させたことがあげられます。習慣の中でも、ニューテクノロジー、つまりインターネットから携帯電話まで、ツイッターからテレビゲーム産業まで、ネットアートから拡大された現実まで、その他多くのニューテクノロジーの利用が最大の主役性を持つものと思われます。

私たちは今日の対談を通じて、このように豊かな未来主義的展望を持つトレンドラボラトリー、テクノロジーという言葉をアバンギャルドのシンボルとして、また超現代性の同義語として受け止める社会を利用しなければなりません。どのようにかと申しますと、日本の文化を構成する優秀な人たちとともに、ホラー映画や自主映画、ビデオアート、デザイン、新興文化産業であるテレビゲームなどによって日本でも著名なスペイン人アーチストたちがお互いに経験を分かち合うことです。マヌエル・カステルスが強く言う「情報化時代における都市の役割は、イノベーションと富を作りだす手段となることだが、それ以上に経済やテクノロジーのみならず、社会や文化の向上を良好に循環させるシステムの手段となる」ことを忘れてはならないと思います。

Javier Castañeda

ハビエル・カスタニェダ・ベルナル、 カサ・アシア インターネット部長
対談「新時代のアーバン・カルチャー」共催者

対談「新時代のアーバン・カルチャー」について

最近充実してきたヨーロッパの新時代のアーバン・カルチャーは、カラフルなエンターテインメント世界とジャパニーズ・ポップ・カルチャーのおかげであり、たった200年前には想像も出来なかった大きな文化的発展を遂げたと云えるでしょう。それは今日、どこの主要都市を一瞥してみるとわかるのですが、昔と全く違う風景が見られます。漫画のナルト、ブリーチ、らんま、などに興味を持つ若者やそれほど若くない人たちが最新シリーズの購入に群がる光景です。また、都会の若者たちは日本のホラー映画、j-ホラー映画祭を満席にしたり、ニンテンドーやコナミのビデオゲームで娯楽時間を費やしたり、日本のアニメシリーズの人物と自分を同一視したり、東京の都会に住む部族のような格好を真似たり、単に日本の食べ物であるワショクを頻繁に食べに行ったりすることです。このような文化的愛着心について、次の二つのシンプルな疑問が湧いて来ます。まず、ジャパニーズ・ポップ・カルチャーの成功ポイントはどこにあるのか、二つ目はどのようにしてスペインの新時代のアーバン・カルチャーにこれほど浸透できたのか、です。

大人気のハリーポッターと同じくらいの本の売り上げをするような現象をアジアで探すなら、日本の最新ポップ・カルチャーの中から探せば十分です。これを大げさだと思う人がいるのなら、『ドラえもん』、『ポケモン』、『しんちゃん』って誰かを若者たちに聞いてみてください。しかしジャパニーズ・ポップ・カルチャーが大衆の消費に与えた現象は漫画セクターだけではなく、アニメ、映画、ファッション、音楽、ビデオゲームなどの分野にもわたります。90年代に幼児期、青春期を過ごしたスペインの人たちは、『ドラゴンボール』、『キャプテン翼』など日が昇る国日本から来たアニメでイマジネーションをふくらませました。そして最近になって日本のホラー映画の上映期間は、不景気にもかかわらず、若い映画ファンが映画館を満席にしているのです。このジャンルにおいては、大成功を収めた『ザ・リング』、『着信あり』、『CURE』や『ダーク・ウオーター』があり、名声を博すオカルト映画監督、クリエーターの中田秀夫、黒沢清、三池崇史の名前を挙げれば十分です。

日本は21世紀になってから文化的超大国として再生しましたがそれは、ポストモダンの価値観を持つ国としての能力があったおかげなのと同時に伝統文化を敬い、尊重し、育成する国だからです。村上隆をリーダーとするスーパーフラットと名付けられたポストモダン芸術ムーブメントの理論的論拠によれば、ジャパニーズ・ポップ・カルチャーが成功したのは、オタク文化または漫画やアニメやj-ホラーなど種々のサブカルチャーに魅力を感じる熱心な消費者がいるからだと云われ、そのインスピレーションの源を伝統とポストモダンの両方に置くジャパニーズ・ポップ・カルチャーの特徴、それが国際的に手堅く受け入れられたキーポイントである、と思います。

この観点からすれば、日本の伝統文化は、徳川時代(17世紀初頭から1868年まで)に花開き、歴史に残る明治時代に近代化し、その後20世紀の経済上昇ブームに乗って1980年代に強くアメリカナイズもしくはヨーロッパナイズされたと言えます。その発展時期に伝統と海外のポストモダン文化がハイブリッドした結果オタク文化が生まれたのですが、おそらく独自の文化伝統から受けるインスピレーションを除外することなくアメリカン・ポップ・カルチャーを日本化させたという意味なのだと思います。このことは、ポップ・カルチャーの二番目の意義を指すことで、つまり大衆消費へ向けた文化の動きであり、結果的にはコミックやアニメシリーズやビデオゲームなど文化産業の潜在力になっているのだと思います。

スペインの新時代のアーバン・カルチャーも文化産業もこの現象に対して黙っていられなくなりました。以前と比べて今になってもっと寿司や刺身が好きになった、ということではありません。ジャパニーズ・ポップ・カルチャーは、映画、コミック、デザイン、ファッション、テレビゲームなどのヒット商品の中に存在しているのです。結論を申しますと、若者のファンに支えられて急速に手堅く普及しているこれらの産業のことを考慮すると、ジャパニーズ・ポップ・カルチャーを受け入れることは、つかの間の流行だけではなく、私たちがその影響に対する成熟プロセスや、新時代のアーバン・カルチャーの大きな変化能力を目撃していることだと確言できると思います。

Guillermo Martínez

ギジェルモ・マルティーネス・タベルネー、近代史教授  (ポンペウ・ファブラ大学)
対談「新時代のアーバン・カルチャー」共催者(カサ・アシア)

クロノグラム
12月9日
18.00 h
ビクトル・ウガルテ セルバンテス文化センター東京館長
ヘスス・サンス カサ・アシア館長
アンへレス・ゴンサレス‐シンデ 文化大臣
18.20 h
対談 1– ホラー映画 ナチョ・セルダ
一瀬隆重

総合司会
アンヘル・サラ
シッチェス映画祭ディレクター
 
ビデオ上映
19.30 h
対談 2-脚本兼監督映画 イザベル・コイシェ
菊池 凛子

総合司会
ギジェルモ・コラル
文化・工業政策局長
カサアシア館長
20:30 h
展覧会 ジョルディ・ラバンダ
12月10日
18:00 h
講演 アントニ・ムンターダス 司会・解説
ビクトル・ウガルテ セルバンテス文化センター東京館長
18:45 h
対談 3- テレビゲーム ゴンソ・スアレス コマンド・クリエーター
エンリック・アルバレス マーキュリースティーム創設者
シャビエル・カリーリョ - デジタル・レジェンズCEO
森下一喜(ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役社長)
岡本吉起(ゲーム・リパブリック代表取締役社長)

総合司会
ハビエル・カスタニェダ・ベルナル、インターネット・テクノロジー部長
19:45 h
講演 ハビエル・マリスカル